1,800円から1,200円へ ― ギフティ投資で学んだ「わからないものは買わない」という当たり前

投稿記録(経験談・進捗状況)

今回は僕の失敗談です。銘柄はギフティ(証券コード4449、現在はギフティグループとして持株会社体制に移行済み)。eギフト(電子ギフト)のプラットフォームを運営する会社です。結論から言うと、1,800円あたりで買って、1,200円あたりで売りました。今回はこの「なぜ買って、なぜ売ったか」を、農家らしい視点も交えて振り返ってみます。

惹かれた理由は「物々交換の村」に似ていたから

ギフティのビジネスは、企業や自治体がスターバックスやコンビニなどの商品と交換できるデジタルのギフト券を発行し、キャンペーンや支援策の一環として個人に配る、というものです。これを最初に知ったとき、正直かなり惹かれました。

というのも、これって形を変えた「物々交換」だと思ったからです。昔ながらの農村というのは、現金のやり取りよりも先に「これあげるから、あれちょうだい」という物々交換の文化がありました。うちの集落でも、採れすぎた野菜を配って、代わりに何か別のものをもらう、みたいなやり取りは今でも普通にあります。ギフティがやっていることは、これをデジタル上で、企業と個人の間で再現しているように見えたのです。「贈り物を軸に、人と人の縁をつなぐ」というコンセプトは、農村的な感覚を持つ自分には妙にしっくりきました。

ビジネスとしても筋が良いと感じました。実際、企業や自治体の利用は右肩上がりで拡大していましたし、コンセプトも嫌いになれない。ここまでは、良い出会いだったと思います。

数字を見たときの「違和感」

ただ、決算書を見たときに、金融機関で審査をしていた頃の感覚が小さく警報を鳴らしていました。売上に対して、売掛金(まだ回収できていないお金)の残高がやけに大きい。正直、当時の自分はその理由をきちんと説明できませんでした。「法人・自治体向けのビジネスだから支払いサイトが長いんだろう」という理解はありましたが、そこの妥当性がいまいちしっくりこないままにしていました。

今振り返れば、これは「わかったつもり」で終わらせてしまった典型例です。土が合っていないのか、悪いムシが付いたのか、水の管理が悪いのか、そこの原因を突き止めることをしませんでした。投資になると、なぜかその違和感を「まあ、成長企業だし」で流してしまう。今思えば、ここが最初のボタンの掛け違いでした。

成長株の物語に乗ってしまった

それでも買った理由は単純で、「成長株」としての物語に乗ってしまったからです。会員数や利用企業数は右肩上がり、業績も伸びている。株価も1,800円近辺まで買われていて、勢いを感じました。そこに拍車をかけたのは某証券会社の前向きなレポート!!あくまで判断材料であり、投資は自己責任なので文句を言うつもりはありませんが、煽られますね。違和感はあったものの、「みんなが評価しているから大丈夫だろう」という、やってはいけない判断をしてしまったわけです(このブログのコンセプトを全く守っていなかった)。

株価はその後、決算で成長の鈍化が見えてくると、あっという間に潮目が変わりました。利益率の低下、進捗率の伸び悩み。高い期待を織り込んだ株価は、期待が少しでも揺らぐと大きく下げます。結局、含み損を抱えたまま持ち続けるのも精神衛生上よくないと判断し、およそ1,200円あたりで売却しました。約1,800円で買って約1,200円で売る。率にして3割強の損失です。収穫前に台風で3割減収になったようなものです。ただし台風は天災ですが、今回のは完全に人災、というか自分災でした。

この会社の財務構造ですが、いまだに解説を聞いてもすっきりと理解できません。僕の中の審査センサーがアラートを発し続けています。ビジネスモデルは非常に魅力的なのですが。

得た教訓:違和感を放置したまま買わない

投資の世界では、ウォーレン・バフェットが「自分の理解の輪(サークル・オブ・コンピテンス)の外にあるものには手を出さない」というスタンスを貫いていることで知られています。ハイテク株のブームに乗らなかったことも有名です。今回の自分は、まさにこの原則の逆をやってしまいました。ビジネスモデルは理解できていたのに、その裏にある財務の違和感は払拭できていなかった。理解の輪の半分だけ入って、残り半分は勢いで踏み込んでしまったようなものです。世界一の投資家でさえ「わからないものには手を出さない」を徹底しているのに、その真似すらできていなかったのですから、反省するしかありません。

ビジネスモデルへの共感や、成長ストーリーへの期待は、投資を始めるきっかけとしては悪くありません。実際、農耕民族的な感覚で「物々交換の進化系」として惹かれたこと自体は、今でも間違っていなかったと思っています。問題は、その先で感じた違和感を、自分の中できちんと消化しないまま先に進んでしまったことです。

田んぼなら、違和感を放置すれば稲が枯れて答えが出ます。しかし株式投資の場合、違和感を放置しても、しばらくは株価が上がり続けることすらあります。むしろそれが厄介なところで、「違和感があるのに株価が上がっている」時期ほど、自分の判断力が試されているのだと、今回身をもって学びました。

次に同じような「惹かれるけれど、理解できない」銘柄に出会ったときは、買う前にその違和感の正体を突き止める。それができるまでは、たとえ乗り遅れる形になっても買わない。今回の3割の授業料は、決して安くはありませんでしたが、この当たり前のルールを体に刻めたという意味では、次の収穫につながる肥料にはなったと思っています。

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