うちの田んぼでは、区画の境目(畦)に細い竹を刺して、先端を割いたところに名札を挟んで区別しています。地味な作業ですが、これが毎年ちょっとした投資の勉強になっています。
竹は、切らないと困る
そもそもこの竹、なぜ用意しているかというと、放っておくと勝手にどんどん増えるからです。竹林を見たことがある方はわかると思いますが、あれは基本的に「誰かが定期的に間引いている」からあの密度で止まっています。放置すると根が隣の敷地まで伸びて、気づいた頃には手に負えない竹藪になります(実際、数年放置すると本当にそうなります)。
だから、毎年ある程度の量を切ります。これは「増えすぎたものを、適切なタイミングで刈り取る」という作業です。
株式投資でいうと、これはポートフォリオの整理や利益確定に近い感覚です。含み益をそのまま放置し続けるのは、竹を切らずに眺めているのと同じで、一見平和に見えて実はリスクが育っています。どこかのタイミングで「刈る」判断をしないと、気づいたときには収拾がつかなくなっている、ということが起こり得ます。
切った竹を、捨てない
ただ、うちのやり方の本題はここからです。切った竹をそのまま捨てるのではなく、先端を割いて名札を挟み、畦に刺す道具として再利用しています。せっかく育った竹を燃やしたり捨てたりするのは、単純にもったいない。刈り取ったものを、また別の形で田んぼの役に立たせる。
これは、配当金の再投資とほとんど同じ発想だと気づきました。
配当金というのは、いわば「育った株から刈り取れた収穫」です。これを生活費として使い切ってしまうのも、もちろん一つの選択です。ただ、竹と同じように「刈り取ったものを、もう一度田んぼ(市場)に戻す」という選択をすると、そこからまた新しい成長につながります。配当金で同じ銘柄や別の銘柄を買い増す、いわゆる配当再投資は、竹を捨てずに次の年の目印として使い続けているのと、構造としてはまったく同じことをしているのだと思います。
刈るタイミングと、戻すタイミング
面白いのは、竹も投資も「刈るタイミング」と「戻すタイミング」が必ずしも同時ではないということです。竹は秋から冬にかけて切りますが、実際に畦に刺すのは翌年の田植え後です。切ってすぐ使うわけではなく、一度乾燥させてから使う方が長持ちします。
配当金も同じで、受け取ってすぐに全額を再投資しないといけないわけではありません。焦らず、次にどう使うかを見極める間(いわば乾燥させる期間)があってもいい。農作業をしていると、こういう「間を置くことの大事さ」を自然と体に叩き込まれます。
竹を刈るたびに、今年もまた同じことをやっているなと思いながら、頭の片隅では今年の配当金をどう再投資するかを考えています。地味な作業ですが、案外投資家に向いている時間なのかもしれません。

